輝きコンサートを終えて 〈第2話〉

  • 2011.09.03 Saturday
  • 18:16
輝きコンサートを終えて 第2話

 

あの日以来、富士さんと大山さんと私の何気ない人間くさい会話が始まった。富士さんはたまにしか

会えないけど立ち止まって見とれたり写真を撮りたりする。きっとどこから見ても素敵な富士さんだろ

うが、日常の中で見慣れた姿は安心と驚きを同時に与えてくれる、そして、今日は出会えるだろうか、

との思いが坂を登りきり方向を変えるまでドキドキ感をもたらす。私は思う、(なんで厚木まで仕事に

行くのか)。そんな時、あの誇らしげな大山さんと話してみるか、富士さんにも会えるかも・・・と。

こうして私の日常は続き15年過ぎた。そんな、ある日のことだった。


おばあさん、はは、かあちゃん、ぬの、ぬのぬうはは、くれたぬのどうしよう、かあちゃんのどうちゅう

ぎ、きいろ、みどり、あお、むかしのきいろ、かあちゃんのせいしゅん、きいろの道中着、黄色、きいろ、
 
どんな、きいろ・・・・

目に入ってきたのは、月見草。

 月見草 「見て、みて、こんないろ」

 私「昨日咲いてたかい、去年も咲いてたかい」

 月見草「みてみてこんな黄色でしょう」

と、月見草が主張した。富士さんも大山さんも「責任とりません、私たちわかりません」と、やけにその

朝はそっけなかった。「おひさまが高く昇るまで迷わないで」月見草は道に広がりあふれ車中の匂い

までも月見草で一杯になった。私はそらを仰ぐ。「おてんとさん今どこ」空は太陽の輝きが増し白い月

が消えかけていた。なにも声がない。(すべての役目は終わったで、月や花といっしょに消えるでの

う、絹 月 花 迷う事無く好きにしやあええ)母の声が聞こえてきた。大山さんも富士さんもその時は

黙っていた、変わりゆくもの達を主人公にするようにと見守っていた。この朝、私は布とともにあった

母の事を残しておこうと、思った。



つづく

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